2009 Fiscal Year Annual Research Report
教育効果を評価する道具としての統計的手法の応用および提案
Project/Area Number |
09J04555
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴川 由美 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 項目反応理論 / 認知的評価モデル / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Research Abstract |
項目反応モデルおよび潜在クラス分析について,それぞれの基礎理論に関する文献,さらに分析の推定に用いるMCMC法に関する文献を収集し,これまでに開発されてきた数々の統計手法の方法論および研究史についてそれを整理し,それぞれの手法のメリットおよびデメリット,適用範囲についての考察を行った。 一般的によく用いられる能力の連続性や一次元性を仮定した項目反応モデルは,指導を終えた後の生徒の能力を評価する累積的評価(summative evaluation)を行うために用いられるものである。これに対し,指導や学習を直接的にサポートするために利用される形成的評価(formative assessment)を行うことを目的とするモデルは,一般に認知的評価モデル(Cognitive diagnostic models)と呼ばれている。これらのモデルは受験者の習熟度をより複雑に多次元的に表現したものであり,受験した生徒と指導する教師,テストの設計者にとっても得られる情報が多くなる。これらのモデルでは,測ろうとしている能力の専門家の診断による制約と,観測された項目反応データから得られる情報をどこまで用いるかということを決定しなければならず,それぞれの認知的スキルに対しどのくらいのレベルの幅を設定するのか,スキルの習得をどのように項目のパフォーマンスと関連付けるのかなどといった複雑な問題に対処する必要があり,それぞれをどのように定義するかによって異なる様々なモデルが存在する。形成的評価に対する需要とマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)の普及に伴い認知的評価モデルに関する研究は今後も増えていくと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
豊田秀樹(編著)
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Journal Title
共分散構造分析[実践編](第16章「間接効果の信頼区間と集団間比較」,第17章「調整変数と媒介変数を扱うモデルの分析」を分担執筆)(朝倉書店)
Pages: 209-222,223-235
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