2011 Fiscal Year Annual Research Report
マラウィがもつ持続的森林利用の可能性―地域社会から見た考察―
Project/Area Number |
09J04582
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 知弘 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | ミオンボ林 / 葉タバコ / 山地雨林 |
Research Abstract |
本研究は人口増加が懸念されるアフリカ大陸東南部マラウイ共和国のミオンボ林において、森林の持続的利用の可能性を探ることを目的としている。これには森林へのインパクトである地域住民による森林利用の実態と、森林の動態を詳細に明らかにする必要がある。 今年度前半は平成21・22年度に実施した調査結果をもとに投稿論文を執筆し(投稿中)、これまでの研究成果の発表を行ってきた。 後半は1月上旬から3月下旬にかけて約3カ月の現地調査を実施した。現地調査ではミオンボ林への人為的影響として大きなインパクトが推測されるタバコ栽培に焦点を当て、聞き取り・参与観察を実施した。その結果、本調査地ではこれまで重要な換金作物であった葉タバコ栽培をやめ、他の作物に転換する世帯が多くみられた。このような傾向は前年度調査からも明らかになっていたが、今年度はさらに多くの世帯が葉タバコ栽培を放棄していた。この主な理由として葉タバコの国際価格の大幅な下落が推測される。前年度に比較するとその価格はおよそ5分の1程度となっていた。 今後、さらに葉タバコ栽培世帯は減少することが予想されるがこれがミオンボ林に与える影響については現在のところ不明である。これについてはこれまでの葉タバコ栽培面積の変化と森林面積の変化を分析することで明らかにし、論文として発表したい。 また、本年度調査ではミオンボ林への人為的影響を明らかにするために、人為的影響の異なる植生において植生調査を実施した。これによると人為的影響により種組成・植生構造が異なることがわかった。さらに人為的な影響の小さい植生では山地雨林種の定着を確認することができ、そしてその定着にはイチジク科の樹木が種子散布、発芽・生存環境の提供という点で重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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