2012 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的解析を用いた神経幹細胞からアストロサイトへの運命決定機構の解明
Project/Area Number |
09J04587
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 明 (中島 明) 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経幹細胞 / アストロサイト / iPS細胞 / リプログラミング |
Research Abstract |
私は、神経幹細胞やアストロサイトの運命決定における分子メカニズムについて研究を行っている。神経幹細胞は、胚発生の進行に伴ってまずはニューロン、続いてアストロサイトへと分化するという現象が知られており、私は、神経幹細胞がニューロンあるいはアストロサイトに分化する運命を決定付ける分子メカニズムに興味を持っている。 一方、近年、神経幹細胞にリプログラミング因子(Oct3/4、Klf4、Sox2、c-Myc)を導入することでiPS細胞を樹立したという報告がされたが、私は、発生(=分化)とリプログラミングの両方の側面からアプローチすることにより、細胞の運命決定機構をより深く追求することができるのではないかと考えた。 そこで、自分自身でも神経幹細胞からiPS細胞を樹立する系を確立した。また、リプログラミング4因子を用いて、アストロサイトからiPS細胞を誘導することが以前に報告されていたが、私は、3因子(Oct3/4、Klf4、Sox2)あるいは2因子(oct3/4、Klf4)を用いてアストロサイトからのiPS細胞樹立にも成功した。そこで、リプログラミングとは分化を逆行することなのか、あるいは全く異なる経路をたどることなのか、という点に焦点を当てて研究を進めることにした。つまり、神経幹細胞から一度分化したアストロサイトにリプログラミング因子を導入する際に、途中で神経幹細胞に性質を獲得するのかどうかを明らかにしたいと考えた。そこで、アストロサイトのリプログラミング過程における神経幹細胞マーカー遺伝子の発現変化やニューロン分化能を獲得するかという解析を行った。 その結果、アストロサイトからのリプログラミング過程において、未分化マーカーであるNanogの発現が上昇するのに先立って、神経幹細胞のマーカー遺伝子Xの発現が一過的に上昇することがわかった。また、マウスの胎児繊維芽細胞(MEF)を用いてiPS細胞を誘導した際には、リプログラミング途中過程におけるXの一過的な発現上昇は観察されなかったことから、アストロサイトのリプログラミング特有の現象であることがわかった。
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Research Products
(1 results)