2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールによる多重精密重合系の開発:高分子一次構造の究極制御に向けて
Project/Area Number |
09J04602
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中谷 和裕 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リビング重合 / ラジカル重合 / 遷移金属錯体 / アルコール / グラジエントコポリマー / タンデム触媒反応 / アルコキシド / エステル交換反応 |
Research Abstract |
本研究課題では、アルコールを鍵試薬として用い、従来は合成困難であった末端官能性ポリマーやマルチブロックポリマー、グラジエントコポリマーなどの機能性高分子の精密合成を目指している。本年度は、特にグラジエントコポリマーの簡便な合成方法として「タンデムリビングラジカル重合」という新規重合系を開発した。 すなわち、遷移金属錯体によるリビングラジカル重合における一般的な助触媒である金属アルコキシドが、アルコールとエステル化合物間のエステル交換反応をも引き起こすことにも着目し、金属アルコキシドとアルコール存在下、遷移金属錯体により、エステル側鎖を有するメタクリル酸メチル(MMA)をリビングラジカル重合することを検討した。この際、重合とエステル交換反応を同時に制御することができると、重合中にモノマー(側鎖)組成が徐々に変化し、簡便にグラジエントコポリマーを合成できると考えた。実際、金属アルコキシドAl(Oi-Pr)_3存在下、塩素型開始剤にルテニウム錯体を組み合わせ、トルエン/エタノール(EtOH)混合溶媒中80℃で、MMAのリビングラジカル重合を検討した。その結果、重合は速やかに進行し、重合の進行と共にポリマーの分子量は増加した。また、^1H NMR解析により、重合の進行と共に、系中に残存しているMMAはEtOHとのエステル交換反応によりメタクリル酸エチル(EMA)に変化し、モノマー組成におけるEMAの比率が増加することが分かった。さらには、生成ポリマー中のEMA組成率も徐々に増加し、最終的なポリマー中のEMA組成率は50%に達した。これらの結果はタンデムリビングラジカル重合によって、グラジエントコポリマーが得られたことを示している.
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Research Products
(6 results)