2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本における政治構造の構築―華族の意義の再検討を通じて
Project/Area Number |
09J04678
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野島 義敬 Kyushu University, 人文科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近代日本 / 華族 / 地域社会 / 同郷会 |
Research Abstract |
本年度は研究対象である華族のうち、大名を出自とする「大名華族」の存在に着目し、明治期から昭和戦前期における大名華族と旧領地との政治・経済・社会的関係のあり方を検討した。大名華族を分析するにあたっては、当主のみならず家の運営に関係する者(家政関係者)の存在にも留意した、組織体としての大名華族「家」という視点を採用した。これにより、大名華族「家」における意志決定の実態把握の必要性が生じるとともに、当主個人に注目するよりも広い人脈から大名華族と旧領地の人々との関係を捉えることが可能となった。そこで本年度は、旧久留米藩主伯爵有馬家を対象として、同家当主頼萬(1864-1927)・頼寧(1884-1957)の二人に焦点をあて、両者の当主期における「家」の意志決定の特徴、明治期から昭和期における有馬家と福岡県久留米地方の人々との人脈の形成、及びこの人脈の地域社会・政治における機能を実証的に明らかにした。具体的な手順として、1)有馬頼寧と家政関係者であった倉富勇三郎の日記、あるいは同じく家政関係者の林田守隆の文書・伝記等から有馬家の意志決定に参画した人物の特定、意志決定の形式の把握、2)上記の人物も含め有馬家関係者と旧領地との関わりを示す事例を検討、3)有馬家と旧領地の人々との結合である「久留米同郷会」の詳細な実態解明、以上三点を中心に研究を行った。今年度の研究成果は、二人の当主時期における「家」の意志決定の比較については5月の九州史学研究会近現代史部会において、「久留米同郷会」の検討を通じた有馬家と旧領地との関係については8月の同会同部会において、東京で形成された人脈の旧領地への波及については10月の同会大会においてそれぞれ発表された。
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Research Products
(1 results)