2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本における政治構造の構築―華族の意義の再検討を通じて
Project/Area Number |
09J04678
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野島 義敬 九州大学, 大学院・人文科学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本近代史 / 華族 / 貴族院 / 議会 |
Research Abstract |
本年度は明治末期から大正期における華族と政治・社会の関係を明かにすべく、旧大和郡山藩主家柳沢保恵を中心とする、貴族院伯爵議員に焦点を当てて研究を行った。調査状況としては、1.財団法人柳沢文庫保存会(奈良県大和郡山市)において、柳沢伯爵家と士族層との関係を示す資料の収集(H22.7.16~17)、2.国立国会図書館において柳沢保恵をはじめとした大正期伯爵議員の書簡の調査(H22.8.11~13、11.5~6)、3.当該期の貴族院の議事録を用いて、伯爵議員の関係した法案の抽出および議事・法案への賛否に対する伯爵議員の投票行動の分析、さらに4国立国会図書館および東京都立図書館中央図書館における子爵議員有力者の資料の調査を行った(H23.2.22~26)。これにより、伯爵議員の多くが議会において活発な政策提言を行ったこと、政策提言の背景に議員個人の専門領域と、大正改元・第一次世界大戦の勃発といった国内外の情勢の変化に対応した国家的・社会的な視点が存在していたこと、伯爵議員の所属する会派は貴族院内の他の会派と異なり、議員個人の活動を尊重する傾向にあったことなど、当該期貴族院議員の政治的思想・議会行動について新たな一面が明らかとなった。一方で、伯爵議員の動向が貴族院全体に如何なる作用をもたらしたのかについては、4.の通り調査を行ったが、詳細を解明するため来年度も継続して調査を行う予定である。本年度の研究成果の一部は、「大正期貴族院における伯爵議員の動向」(九州史学研究会近現代史部会、2010.10.2、九州大学)および「大正期貴族院における特異点としての伯爵議員-柳沢保恵を中心として」(2010年度史学会大会・日本史部会・近現代史部会,2010.11.7、東京大学)として発表された。この他、5.華族に関する研究書、華族の伝記、刊行された日記資料、および研究に必要な文具類を購入した。
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Research Products
(3 results)