2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランドにおける教師教育-research-based educationに焦点を当てて-
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09J04686
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
隼瀬 悠里 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フィンランド / 教師教育 / 教員養成 / research-based / 教師 |
Research Abstract |
本研究は、フィンランドの教員養成制度における特徴を構成するresearch-based educationについて、その内容、運営実態、効果について明らかにすることを目的とするものである。本年度は、フィンランドの教員養成について内容面に焦点を当て、(1)理論的背景と(2)カリキュラム構成の2つの視点から分析を行った。(1)理論的背景については、フィンランドの教員養成をリサーチ・ベースド(research-based)と特徴付けたヘルシンキ大学のペルッティ・カンサネンの著書や論文を中心に、関連する文献等の考察を行った。カンサネンによると、教員養成においては、教師が専門家たる所以としての教師の教育学的思考を発達させることが肝要とされているため、教師の教育学的思考とは何であるのか、またそれと教員養成課程で扱われる教育内容との関連についての考察を行った。(2)カリキュラム構成については、フィンランドで最も規模が大きいヘルシンキ大学と最も古い教員養成の歴史を持つユバスキュラ大学の初等教員向けカリキュラムについて分析を行った。両者のカリキュラムの分析を通して、「研究する教師」という教師像が明確に持たれており学生に対して研究能力の獲得が重視されていること、また大学での授業内容と教育実習が密接に関連した形態で実施されていることが分かった。フィンランドでは30年以上にわたって中等教員のみならず、初等教員の教員養成も修士レベルで行われており、日本においても教師への修士号取得の義務付けが検討されている昨今、その実態を解明することは非常に意義がある。今後は教員養成の効果という視点も持ち、すでに実施済みのアンケート調査等の結果もふまえつつ、現職教師も対象にした教師教育という幅広い視野で引き続き研究に取り組んでいく。
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Research Products
(3 results)