2009 Fiscal Year Annual Research Report
多核破骨細胞の各分化段階における遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
09J04705
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
延 〓榮 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(D2)
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Keywords | 破骨細胞 / 多核化 / 転写活性 / 転写因子 / 転写共役因子 / エピジェネティック制御 |
Research Abstract |
今年度は、骨吸収を担う破骨細胞の多核における転写活性化を検討することに注力した。まず、多核破骨細胞て、生化学的な実験系(免疫染色・FISH)が出来るように条件検討し、樹立した。この実験系を用いて、核内水容体の局在やプライマリ転写産物の局在を調べることで多核における転写活性を検討した。その結果、様々な核内水容体が全てに核に存在することが観察された。しかしながら、リン酸化されたRNA polymeraseIIや破骨細胞分化に必須てある転写因子Nfatc1の局在は一部の核にしか存在していない結果が得られた。同様に、破骨細胞特異的な遺伝子群であるCtsKやTRAPに対するプライマリ転写産物も多核において選択的に存在することが観察された。従って、多核破骨細胞において全ての核が転写活性を持つことではなく、一部の核だけが転写活性機能を発揮することが示唆された。 また、生化学的な手法により、破骨細胞におけるNfatc1の新たな相互作用因子群を探索した。そのため、最初にRANKL刺激により、Raw264細胞から破骨細胞に分化させる条件を樹立し、さらに大量培養する条件を樹立した。次に、分化した破骨細胞から核抽出液を調整し、抗Nfatc1抗体カラムを用いたアフィニティー精製を行なった。その後、質量分析機により、複数のNfatc1相互作用因子群を同定した。中でも、我々はSANTトメインを有する'Kiaa1903'に着目した。多くのクロマチンリモデリンク因子群がこのトメイン有することから、OCANは、新たなエピジェネティック制御因子として機能する可能性が考えられる。今後は、破骨細胞分化におけるKiaa1903の分子機構を解析する予定である
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