2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブナ・イヌブナの更新戦略の機能的な差異に関する研究
Project/Area Number |
09J04716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石塚 航 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分布 / ブナ属2種 / GISを用いた森林生態学 |
Research Abstract |
本研究で対象とする樹木2種は、研究対象地において局所的なすみわけをして個体群を維持している可能性があり、それらが個体群の持続性に及ぼす影響、また、それらを実現させている進化的プロセスの種間差や相互作用について解明するため、現在詳細な調査・解析を行っている。 まず今年度については、対象樹木、とくに林冠を構成するような成木の分布特性と地形との関連性をより詳細に検討するため、設定した調査地(1.69ha)において測量を行い、GIS(地理情報システム)を利用してDEM(標高モデル)を作成した。その結果、既存でとられていたものと比べ、10倍スケールの解像度での、精度良いDEMを得ることができたので、これを用い、対象2種の分布状況を評価した。解析にあたっては、統計学的推定モデルを応用し、GIS情報とモデルを組み合わせ、より汎用性の高い手法を提示することに成功した。かつて行われたさまざまな植物の分布調査からは、林内の傾斜角度や尾根-谷地形、乾-湿傾度や、生物要因として他種との相互作用が重要な要素となることが示されているが、今回の汎用性の高いモデルにおいても、傾斜角度、凹凸度といった地形変量と他種効果が抽出され、対象種それぞれの分布(在/不在)と生育量(BA合計;胸高断面積合計)への影響の有無やその程度を適切に評価されており、このモデルアプローチはより広く活用していくことも可能である。 対象種の解析結果からは、地形に非依存的・依存的な分布特性や他方樹種の干渉作用が示された。以上より、地形選好性を反映した空間分布パターンと近隣の影響を受ける量的な分布パターンの作用を受けた個体群動態が考察され、今後はさらに踏み込んだ研究を行っていくことができるだろうと考えられた。
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Research Products
(2 results)