2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性ペプチドホルモンによる摂食・代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
09J04737
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 紀子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | サリューシン / 免疫組織化学染色 / プロセッシング / HPLC / ウエスタンブロット / 飲水行動 / 循環制御 / 脳室内投与 |
Research Abstract |
サリューシン-α及びサリューシン-βはヒト全長cDNAライブラリーより予測したそれぞれ28及び20アミノ酸残基からなる、新規多機能性生理活性ペプチドである。これらのペプチドは、ヒトにおいてはプロサリューシンより同時に産生されると考えられているが、ヒト以外の種においてはその生合成や存在様式は明らかになっておらず、齧歯類においてはヒトプロサリューシンにみられる二塩基性アミノ酸配列が存在しない。今回我々は、ラットサリューシン-α、-βそれぞれに特異的な抗体を作成し、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ゲルろ過、逆相HPLCにて解析した結果、ラットプロサリューシンは、二塩基性アミノ酸の非存在下においてもサリューシン-α及びサリューシン-βにプロセシングされる可能性が示唆された。サリューシンのペプチド医薬や抗体医薬への応用が期待されているため、本研究はげっ歯類を用いた実験系の妥当性を明確に示した意義がある。 さらに、ラット視床下部に強く発現するサリューシン-βの中枢神経作用を解析するため、飲水・摂食・行動量の同時測定システムを用いて、マウスにサリューシン-βの抹消、および中枢投与法を確立して、経時的に行動変化を評価した。抹消投与により飲水行動が促進されるが、アトロピンの前処置により解除され、逆に中枢投与では濃度依存性に、非常に低濃度で飲水行動が抑制され、抹消と中枢では異なった機序によりサリューシン-βが飲水行動を制御しているという新たな知見が得られ、現在さらに解析を進めている。
|
Research Products
(2 results)