2009 Fiscal Year Annual Research Report
植生遷移に伴う種子散布者と散布種子の変移:東南アジア熱帯地域の鳥類に関する事例
Project/Area Number |
09J04738
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鴨井 環 Ehime University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 種子散布 / 鳥類 / 植生遷移 / 焼畑休閑林 |
Research Abstract |
本研究では、遷移段階の異なる森称において種子散布者と散布種子を明らかにし、その変化のメカニズムと植生遷移への影響について検討することを目的としている。東南アジアの湿潤熱帯地域であるマレーシア・ボルネオ島にあるランビルヒルズ国立公園とその周辺の焼畑休閑林において、0.1haの調査プロットを設置し、毎木調査を行い、開空度(%)を求めた。カスミ網を用いて、鳥の捕獲調査を行い、鳥の種類、体重、嘴の大きさ、糞の内容物、排泄された種子の種類、個数、乾重等を記録した。また、森林内にある結実している植物を採集し、その果実の重さ、寸法、種子の重さ、寸法、個数を記録し、種子と植物を乾燥させ、標本として保存し、鳥によって排泄された種子の種同定に利用した。結果、363個体(12科44種)の鳥が捕獲され、そのうち、種子を排泄した鳥はタイヨウチョウ科5種、ヒヨドリ科8種、チメドリ科2種、キヌバネドリ科1種で合計4科16種だった。その16種263個体のうち、種子を実際に排泄した個体は68個体で、全捕獲数の18%だった。また、捕獲された鳥から未同定種子を含む40種類の種子が排泄された。排泄された種子の個数または乾重をプロットごとに積算して解析を行ったが、累積種子個数または累積種子乾重と開空度の間にはどちらにも有意な相関は見られなかった。種子1個あたりの乾重によって分類し解析した結果、小型種子の累積種子個数は開空度とともに増加すること、中型種子の累積種子個数は中程度の開空度で最大で、開空度が小さくなるにつれて減少すること、種子のサイズによって排泄する鳥グループが異なることがわかった。このことから、森林の遷移段階によって重要な種子散布者が異なることが示唆された。
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Research Products
(1 results)