2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04740
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 丈典 東京大学, 地震研究所, 特別研究員DC1
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Keywords | 氷衛星 / エウロパ / 火星 / 粒状 / 熱伝導率 / 熱慣性 |
Research Abstract |
2010年度の研究成果は「粒子層の熱慣性を非接触測定によって決定する手法を考案し、測定系を構築した」という点に集約される。以下、詳細を報告する。私の研究課題「氷衛星表面に対する新たな年代決定手法の開発」には、衛星表面の粒子層の熱物性がどのように決まるか、定量的に理解することが必要である。粒子層の熱伝導率を実験的に定量する研究は多い[例えばPresley and Christensen, 1997 ; 2006 ; 2010 ; Huetter et al., 2008]が、熱慣性を測定した研究は稀である。しかしながら、惑星表面の温度変化に熱慣性は大きな影響を与えるため、熱慣性を直接定量する事が重要である。また火星表面の熱慣性の値は季節変化する事が知られており、変化の原因として氷の凝結が有力視されている[Kuzmin et al., 2009]。熱慣性の変化から氷の量を算出する際には理論式が用いられており、理論式を実験的に確かめる研究が待たれている。私は、生理学の分野で知られていた熱慣性測定法[Buettner,1951]を粒子層に適用する事を着想した。本研究で構築した測定系によって火山砕屑物の測定を行ったところ、熱伝導率がほぼ等しいサンプルであっても、熱慣性に有意な差があり得る事が分かった。すなわち本研究により、惑星表面の温度に大きな影響を与える熱慣性を、熱伝導率から推定するより正確に決定することが出来るようになったのである。
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Research Products
(9 results)