2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己の経験と他者の行動の観察に基づく行動選択の脳内機構
Project/Area Number |
09J04742
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 今日子 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 前頭葉内側部 / 細胞外記録法 / 自己と他者 / エラー処理 / 行動の切り替え |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、2頭のニホンザルが対面してボタンの選択を行う行動課題をトレーニングし、十分トレーニングされた後のサルに対して、この課題遂行中の前頭葉内側部(主に前補足運動野pre-SMAと帯状皮質運動野吻側部rostral cingulate motor area)の神経細胞活動を記録した。 前頭葉内側部は、自己の運動の企画と実行に関与するといわれているが、自己の行動選択時に活動する細胞(self typeと名づけた)が存在するだけでなく、自己の行動選択時および他者の行動選択を観察する際の両方において活動する神経細胞(mirror type)が認められた。また、他者の行動選択の観察時に特異的に活動する神経細胞(partner type)も認められた。Partner type neuronのように、他者の行動の観察時に特異的に活動する神経細胞の存在が明らかになったのは、本研究が初めてである。また、mirror neuron様の活動を示す神経細胞がサルのこの部位で認められたのも、初めてのことである。この結果をCurrent Biology誌に発表した(Curr Biol. 2011 Feb 8;21(3):249-53)。 また、前頭葉内側部は、外部環境に適応的に行動を切り替えたり、エラーを検出したりすることに関与しているといわれている。本研究では、2頭のサルから、行動の切り替え(スイッチ)や、他者の選択エラー観察時に特異的に反応する神経細胞活動を記録した。この内容は、11月に北米神経科学会で発表した。 これらの結果により、前頭葉内側部が、他者の行動を観察しそこから得られる情報を利用して適応的な行動選択を行うという、社会生活において重要な機能に関与していることが示唆される。
|
Research Products
(5 results)