2009 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来のエンド型糖質分解酵素の機能改変とその機能性糖鎖複合体の合成への応用
Project/Area Number |
09J04774
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅川 碧里 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 糖鎖 / 糖鎖付加 / 酵素 |
Research Abstract |
糖タンパク質や糖脂質の糖鎖は、細胞の分化や接着、タンパク質の品質管理、ウイルス感染など様々な生命現象において重要な役割を担うことが明らかとされており、最近では、糖鎖の機能や構造に着目した糖鎖医薬品や機能性糖鎖複合体などの創製が試みられている。本研究では、微生物酵素エンドMが有する特異な糖鎖付加機能に着目し、物質生産に有効な本酵素の機能改変型変異酵素を創製するとともに、その実用化を試みている。本研究においてこれまでに、糖鎖付加機能の向上した種々の有用変異体酵素を創製することに成功してきたが、最近、糖鎖付加機能が著しく向上した変異体酵素を新たに見出した。本変異体酵素を用いて実際にいくつかの糖ペプチドの酵素合成を行ったところ、従来の野生型の酵素を用いた際の収率は僅か数パーセントであったのに対し、その収率は90%程度まで飛躍的に向上していることを見出した。また、これまでオキサゾリン誘導体の化学合成は煩雑であったが、最近東北大学の正田らによってオキサゾリン誘導体の簡便な合成法が開発された。実際のその手法を用いて卵黄由来のシアロ糖ペプチドを材料としてシアロオキサゾリン誘導体を合成し、本変異体酵素によって酵素反応を行った結果、さまざまなシアロ糖ペプチドが90%程度の高収率で生産できた。すなわち、平成21年度に実施した研究の成果により、基質の合成から目的物質である糖鎖複合体を得るまでの全ステップが容易かつ効率的な画期的な方法が開発された。平成22年度は、本法を用いて糖タンパク質や生理活性糖ペプチドの酵素合成を行う。また、酵母によるタンパク質生産と組み合わせ、エリスロポエチン、ラクトフェリンなど種々の糖タンパク質性医薬品の生産への実用を試みる。
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Research Products
(5 results)