2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病における薬物トランスポータ発現変動機構の解明と薬物治療への応用
Project/Area Number |
09J04780
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶原 望渡 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トランスポータ / 有機カチオン / 尿細管分泌 / バレニクリン / 生活習慣病 |
Research Abstract |
禁煙補助薬バレニクリンは糖尿病や高血圧を背景とする喫煙者にも幅広く用いられている。しかし、その動態特性については未解明な部分が多い。そこで本年度はマウスを用いた検討を中心に、バレニクリンの体内動態に寄与するトランスポータの同定を試みた。 まず、バレニクリンが腎臓の刷子縁膜に発現するH^+/有機カチオンアンチポータMATEの基質であるか否かを直接的に評価するため、HEK293細胞に一過性にMATEを発現させてバレニクリンの取り込み実験を行った。その結果、マウスMATE1及び腎特異的に発現するヒトMATE2-Kを一過性に発現させたHEK293細胞において、バレニクリンの取り込み量の有意な増加が対照群と比して認められ、バレニクリンがMATEの基質となることが示された。次に野生型マウス及び申請者の研究室で構築したMatelノックアウトマウスを用いてバレニクリンの体内動態実験を行った。その結果、野生型マウスと比較してノックアウトマウスにおけるバレニクリンの血中濃度及び腎組織中濃度は顕著に上昇し、尿中排泄量は有意に減少した。また、薬物動態パラメータを算出した結果、バレニクリンの腎クリアランス及び分泌クリアフンスは野生型の62%、55%に低下していた。 これらの結果から、バレンクリンの排泄にMATEが寄与することが示され、生活習慣病患者にバレニクリンを投与する場合、腎MATEの発現量や機能レベルの情報が有用であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)