2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒を用いた有用化合物の効率的不斉合成法の開発
Project/Area Number |
09J04784
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
漆島 達哉 東京理科大学, 工学研究科工業化学專攻, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 不斉触媒 / 有機触媒 / アルドール反応 / ジフェニルプロリノール / グリオキシル酸エチル / ピペリジン / エポキシ化 / ワンポット |
Research Abstract |
有機触媒は、金属触媒に比べ一般に安価であり、水や酸素に安定で、毒性が少ないなどの利点がある。有機触媒を用いた不斉触媒反応により有用な光学活性化合物を環境に優しく大量合成する手法を確立することを目的とし研究を行った。エポキシドは有機合成化学上重要な官能基であり、これまで様々な方法で光学活性なエポキシドの合成が達成されてきた。有機触媒を用いた場合においても優れた方法が開発されている。しかし、β-置換アクロレインの不斉エポキシ化は多くの成功例がある一方で、α-置換アクロレインの不斉エポキシ化はほとんど報告されていない。今回我々はα-置換-β,β-無置換アクロレインの不斉エポキシ化が、我々が独自に開発したジフェニルプロリノールシリルエーテルを触媒とすることで高エナンチオ選択的に進行し、4級不斉炭素を有するα-置換-β,β-無置換-α,β-エポキシアルデヒドが良好な収率および高い不斉収率で得られることを見いだした。 ピペリジン環は多くの夫然物や医薬品に見られる骨格であり、立体選択的構築法の開発は有機合成化学上重要な課題である。一方、当研究室ではニトロスチレンとアルデヒドの不斉マイケル反応がジフェニルプロリノールシリルエーテルを触媒とすることで進行し、対応するγ-ニトロアルデヒドが高収率、高立体選択的に得られることを見出している。今回、我々はこの不斉マイケル反応後、反応容器に直接、塩基性条件下イミンを作用させることでアザヘンリー/分子内ヘミアミナール化反応を行った。更に酸性条件下、求核剤を作用させることで全ての炭素上に置換基を有する多置換ピペリジンをワンポットで高収率、高エナンチオ・ジアステレオ選択的に合成することに成功した。
|
Research Products
(7 results)