Research Abstract |
本年度は始めにヘテロ次元接触を含むヘテロ次元サイクルをもつ微分同相写像について,擬横断的交差とヘテロ次元接触を制御する2パラメータ関して,ブレンダーが構成できるかを考察した.そこで参考にしたのが,S.Kiriki, H.Kokubu, M-C.Li,の研究である. これはヘテロ次元サイクルをもつ微分同相写像について,C^1摂動を数回加えることによって,ブレンダーを構成するものである.研究代表者はこの先行研究をもとに考察し,S.Kiriki, Y.Nishizawa, T.Somaの研究のように擬横断的交差とヘテロ次元接触に関する2パラメータに制限を加えたままではブレンダーを構成できないと考えた.そこで2パラメータに制限という制限を考えず,C^1摂動を数回加えることによってブレンダーを構成して,ストレンジアトラクターの存在とも関係が深いホモクリニック接触が,C^1ロズストにあることを証明しようと試みた.この研究の詳細については[西澤由輔,Heterodimensional tangenciesから導き出されるstrange attractorsとC^1 robust homoclinic tangenciesについて,双曲型力学系から大自由度力学系へ,数理解析研究所講究録(掲載決定)]に記されている.また,この研究についての学会・研究集会の発表は[2009 RIMS研究集会双曲型力学系から大自由度力学系へDynamical Systems-with Hyperbolicity and with Large Freedom(京都大学,数理研),2009年8月21日],[日本数学会総合分科会(大阪大学),2009年9月25日],[幾何学セミナー(首都大学東京),2009年11月13日]で行った.そして,この研究は論文[Y.Nishizawa, Heterodimensional tangencies leading to C^1-robusthomoclinic tangencies, preprint]としてまとめた.このロバスト性は力学系の研究において大変重要な性質であり,研究代表者はこの研究を基にヘテロ次元接触を含むヘテロ次元サイクルをもつ微分同相写像について新しい力学系の現象が現れるだろうと感じている。
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