Research Abstract |
本年度は始めに,ヘテロ次元接触を含むヘテロ次元サイクルをもつ微分同相写像について,ヘテロ次元接触の近くでどのような力学系が存在するかを考えた。研究代表者は二つの不動点の固有値が複素数の場合に元の微分同相写像にC^1摂動を加えることにより,ヘテロ次元接触の近くに馬蹄が存在することを示し,その馬蹄を用いてwild hyperbolic strange attractorsをもつ微分同相写像が,ある条件下では元の微分同相写像のC^1位相で近いところに存在することを証明した。詳細については[西澤由輔,Heterodimensional tangencies leading to hyperbolic sets and wild hyperbolic strange attractors,数理解析研究所講究録(掲載決定)]に記されている。また,この研究の発表を[RIMS共同研究マクロ経済動学の非線形数理(京都大学,数理研),2010年9月8日],[日本数学会総合分科会(名古屋大学),2010年9月22日],[2010年度冬の力学系研究集会(東京工業大学),2011年1月9日]で行い,論文[Y.Nishizawa,Heterodimensional tangencies leading to hyperbolic sets and wild hyperbolic strange attractors,preprint]としてまとめた。本年度は次に,ヘテロ次元接触を含むヘテロ次元サイクルをもつ微分同相写像でそのサイクルを作るインデックスが2の不動点を含むブレンダーをもつものを考え,ブレンダーのdistinctive propertyを用いてインデックスが2の不動点の安定多様体の極限から葉層構造が構成できること示した。この研究の発表を[第7回数学総合若手研究集会(北海道大学),2011年3月2日]で行った。この研究については,この葉層構造がロバストであるか,現在も研究中である。本年度は次に,点分岐と呼ばれる分岐について考えた。研究代表者は首都大学東京の満倉氏との共同研究として,3次多項式の2パラメータ族を考え,2つのパラメータで同時に点分岐をもつ3周期点が存在し,分岐図中にバブルが現れる初めての具体例を構成した。この研究の発表を[力学系セミナー(首都大学東京),2010年12月17日]で行い,論文[Y.Nishizawa and E.Mitsukura,Simultaneous point bifurcations and bubbles for two parameter family of cubic polynomials,preprint]としてまとめた。
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