2009 Fiscal Year Annual Research Report
2次元共形場理論を用いたゲージ理論/重力理論対応の研究
Project/Area Number |
09J04809
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 拓也 Nagoya University, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゲージ理論 / 重力理論対応 / 共形場理論 / 可積分系 / ヤンギアン代数 |
Research Abstract |
本年度は、ゲージ理論/重力理論対応に基づく可積分模型における代数構造に関する研究を行った。特に可積分模型の散乱行列の対称性として、ヤンギアン代数が現れることが2007年にN.Beisertによって指摘されていたが、それはヤンギアン代数がある表現(Evaluation表現)を満たすことが仮定されていた。本研究では、実際に可積分模型の超リー代数の表現がヤンギアン代数のEvaluation表現に持ち上がること、すなわちヤンギアン代数の全ての定義方程式、特にセール関係式との無矛盾性を示した。従来、この証明が困難であったのは、この可積分模型の超リー代数のキリング形式が縮退していることセール関係式そのものが煩雑であったことによる。我々は、この超リー代数の一変数変形であり、縮退のないキリング形式をもつ例外超リー代数と3次元ガンマ行列を用いることによりこの問題を解決した。さらに、その過程で例外超リー代数の無限次元表現もヤンギアン代数のEvaluation表現に持ち上がることが分かった。Evaluation表現は典型的な共形場理論であるWZW模型の対称性であるカレント代数とよく似た構造をもっており、ゲージ理論/重力理論対応の共形場理論を用いた統一的な理解への重要なステップであると考えている。今後は引き続き、この可積分模型の代数と構造に対する理解を深めるとともに、例外超リー代数の物理的意味に関しても考えていきたい。
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