Research Abstract |
本年度の研究目的として,昨年度に開発したシステムの拡張と,高品質な立体動画像の再生を掲げてきた。ホログラムを生成するための専用計算機システムと,ホログラムを表示するディスプレイを接続するために,GPU (Graphics Processing Unit)に着目をした。GPUは近年では汎用数値計算のアクセラレータボードとしても使われており,その本来の用途である映像の表示と合わせたシステムとは親和性が高い。GPUを用いてホログラムを高速に作成する研究は既に行われており,本研究ではプロジェクターと組み合わせたフルカラーホログラフィシステムの開発を行ってきた。このシステムではカラーの像を再生するためにR,G,Bの各色毎にディスプレイを割振り,GPUで各色に対応したホログラムを表示するシステムとなっている。またこのシステムではGPUで計算,表示の全てを行っているが,計算の部分を専用計算機に置き換えれば,専用計算機からの出力をリアルタイムに送れるシステムを構築できる事が分かった。また再生像の高品質化という点については,上でも述べたようにフルカラーの像の再生を行った。この成果は動画を配信できる論文誌(Optics Express)に投稿しており,実際にWeb上で観賞することができる。また従来多くの研究者が用いてきた表示デバイスは,振幅ホログラムと呼ばれるものを表示するためのものであった。そこで再生像の高品質化を図るために,位相ホログラムというものについて調査し,再生,比較実験を行った。その結果位相ホログラムの方が高効率で高品質な像が再生できることを確かめた。また昨年度までの成果と今年度の成果をまとめて,2件の招待講演で発表してきた。いずれも国際会議であり,研究成果について大いにアピールすることができた。
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