2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型両親媒性物質のグリーンプロセスによる合成と物性評価
Project/Area Number |
09J04882
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伴野 太祐 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 界面活性剤 / カーボネート結合 / 生分解性 / ケミカルリサイクル / リパーゼ |
Research Abstract |
グリーンケミストリーの構築が求められるなか、次世代型界面活性剤には、再生可能資源を原料に用いた環境低負荷なプロセスによる合成が強く望まれている。また、使用量の削減につながる高機能性、優れた生分解性、さらに使用形態によってはケミカルリサイクル性が求められる.本研究では、カチオン界面活性剤および非イオン界面活性剤に生分解性およびケミカルリサイクル性を付与することを目的に、一般的な加水分解酵素により開裂されるカーボネート結合を分子内に導入した新規界面活性剤を設計し、その合成および特性について検討を行った。 まず、カーボネート結合を有するジェミニ型(二鎖二親水基型)カチオン界面活性剤の合成および特性について検討を行った。リンカー部にカーボネート結合を有するジェミニ型カチオン界面活性剤は、疎水基基部にカーボネート結合を有するものよりも抗菌性および生分解性に優れた。このことから、抗菌性および生分解性は、リンカー部へのカーボネート結合の導入により向上することが認められた。また、カーボネート結合を有するジェミニ型カチオン界面活性剤はリパーゼを用いたケミカルリサイクルが可能であることが認められた。 次に、カチオン界面活性剤の立体化学が界面活性、抗菌性および生分解性に与える影響を明らかにするため、疎水基部に不斉中心を有するカーボネート型カチオン界面活性剤を分子設計した。リパーゼを利用したエナンチオ選択的な反応により、光学活性カーボネート型カチオン界面活性剤を合成した。これの立体化学により、界面活性および抗菌性に顕著な差異は認められなかったが、一方、生分解性は強く影響を受けることを明らかにした。 さらに、ポリオキシエチレン鎖を親水基とするカーボネート型非イオン界面活性剤のグリーンプロセスによる合成について検討を行った。それらは、優れた生分解性およびケミカルリサイクル性を有することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)