2009 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼における物理環境がリンの動態と藻類増殖に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
09J04909
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 隆一郎 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リン / 浮葉植物 / 大津川 / 手賀沼 |
Research Abstract |
I.実施した研究成果・内容 本年度,研究員は手賀沼流域をフィールドとし,以下の研究を行った.(1)手賀沼に流入する河川の一つである大津川におけるリンの動態の把握;(2)手賀沼内における水草を用いた浄化効果の検討. (1)手賀沼への流入河川である大津川は,極めて高濃度のリンに汚染されている.本研究において研究者は,大津川内における懸濁粒子とリンの動態を把握した.大津川では,上流域において極めて多量のリンが流入しており,それが下流に向かって徐々に低濃度になっている.大津川におけるリンの種類としては溶存性無機態リンが高濃度で存在し,それらは水中に浮遊する懸濁粒子に吸着しながら手賀沼へと流入していると推察された. (2)手賀沼内における水草は,湖岸におけるヨシ他,浮葉植物であるハスが存在する.ハスはリン,窒素などの栄養塩を多く吸収するため,水質浄化に有効であると考えられる.本研究は,ハスの群落全体が保有するリンの量を把握し,その枯死期において流出量を定量化したものである.その結果,枯死期2ヶ月間におけるリンの流出量は,手賀沼内に流入する,大津川からの一ヶ月間の流入負荷量とほぼ同程度であることがわかった. II.実施した研究の意義・重要性 本年度の研究は,湖沼の保全対策を行う際に極めて重要な意義を有する.近年の湖沼保全対策の弊害として指摘されていることは,外部からの流入を減少させても,内部における栄養塩負荷によって富栄養化が進行するという点である.本研究では,外部負荷の大部分を占める大津川におけるリンの動態のみならず,内部における水草を含んだリン循環を解明した.これら一連の研究は,これからの湖沼保全対策を行う際に,重要な知見になるポテンシャルを有している.
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Research Products
(5 results)