2010 Fiscal Year Annual Research Report
脱細胞化角膜実質を用いた再生型人工角膜の開発と特性評価
Project/Area Number |
09J04930
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
橋本 良秀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 角膜 / 脱細胞化 / 高静水圧 / 異種移植 / 再生医療 / PERV / α-Gal / 角膜実質再生 |
Research Abstract |
本研究は、高静水圧処理法により作製した脱細胞化角膜実質を用いることにより再生型人工角膜を開発することを目的としている。本年度は、昨年度に確立した最適化脱細胞化プロトコールを用いて作製した脱細胞化角膜実質の組織適合性評価を行った。まず、ブタ由来角膜を利用しているため、懸念されるブタ内在性レトロウイルス(PERV)の有無に関して検討を行った。脱細胞化組織からtotal RNAを抽出し、RT-PCRを行った結果、PERVは検出されなかった。さらに、超急性拒絶反応に関与するα-Galの有無についてα-Galエピトープ抗体を用いた免疫染色により評価した。未処理角膜において、強角膜部では強陽性、実質部では弱陽性であった。一方、脱細胞化処理角膜では、いずれにおいても陰性であろことが明らかとなった、脱細胞化角膜の組織適合性を評価するために、日本白色家兎角膜実質への層間移植を行った。未処理角膜移植群では、移植後早期に血管の誘導および移植片の混濁が認められた。8週間後のH-E染色所見では、移植片および周囲に好中球やマクロファージなどの炎症系細胞が浸潤し、細胞層を形成していることが確認された。一方、脱細胞角膜移植群では、移植後1週間から移植片が透明化し始め、2週間後では移植片が完全に透明化し、顕微鏡下でのみ確認可能であった。4、8週間後においても、透明性は維持されており、新生血管の誘導は観察されなかった。H-E染色所見では、移植片周囲に軽微な炎症が認められたが、炎症細胞の浸潤は観察されなかった。さらに、1年間の経過観察を行った結果、レシピエントの角膜実質細胞はほとんど浸潤していないが、透明性は維持されることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)