2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 裕文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロ波 / 超伝導 / 電波天文学 / 雑音源 |
Research Abstract |
本研究の目的はマイクロ波帯からミリ波帯の高周波コンポーネントの高精度な特性評価を可能にする超伝導トンネル接合(以下SIS接合)を用いた雑音源を開発することである。 平成21年度まではマイクロ波帯増幅器の特性評価用雑音源の開発に取り組んで来た。その結果、4-8GHzというこれまでに報告のない高い周波数帯でも、見積もられる増幅器の雑音温度が既存の方法と±2Kの精度で一致し、SIS雑音源が有用である事を世界で初めて示した。 現在はマイクロ波帯でのSIS雑音源の結果をふまえ、ミリ波帯への拡張に取り組んでいる。電波天文学用ミリ波サブミリ波帯受信機の雑音温度の特性評価にはマイクロ波帯同様Y-factor法が用いられるが、雑音源として常温と液体窒素に浸した電波吸収体が使われる。この雑音源を用いた場合、感度の良いミクサでは常温雑音源を入力すると飽和を起こしてしまい正しく特性を評価できないという問題点がある。SIS雑音源はその出力をバイアス電圧で連続的に制御できるためこれらの問題を解決できる可能性を秘めている。そこで本研究では100GHz帯の導波管マウント型SIS雑音源の開発に取り組んでいる。平成22年度はSIS雑音源のミリ波帯における有効性を調査するために必要な、SIS雑音源、評価用受信機、光学系を設計・製作した。本年度は、設計製作したこれらのコンポーネントを用いて、まずはSIS雑音源から出力される雑音の詳細な特性評価を行う。評価すべきパラメータとしては周波数特性、バイアス依存性、物理温度依存性等がある。SIS雑音源の特性評価の後、従来から問題となっているSISミクサの応答の非線形性や飽和の効果についての詳細な調査を行う。ミリ波帯でのSIS雑音源の有効性が確認されれば、on-chip型のSIS雑音源の設計・製作・評価に取り組む。
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Research Products
(1 results)