2010 Fiscal Year Annual Research Report
溶融押出法による屈折率分布型プラスチック光ファイバの屈折率分布制御
Project/Area Number |
09J04953
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅井 誠 慶應義塾大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 屈折率分布型プラスチック光ファイバ / 溶融押出法 / 最適屈折率分布 / ガラス転移 / 可塑化効果 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
1.高耐熱GI-POFのための低分子設計 高耐熱GI-POFを作製するためには可塑化効果の小さな低分子を探索する必要がある。9-BromophenanthreneがPMMAに対して極めて小さな可塑化効果を示すことを発見し、従来のPMMA系GI POFの中でも最高耐熱性を有するGI POFの作製に成功した。このGI-POFは、低分子系では車載LANの国際規格を満たす初めてのPMMA系GI-POFである。 2.溶融高分子中における低分子拡散に与える化学構造の影響 高分子中の低分子の拡散特性を高度に制御することは、GI-POFにおける屈折率分布制御において非常に重要である。Diphenylsulfidとdibenzothiophenを比較することで、ベンゼン環の回転が低分子の拡散性に与える影響を検証した。その結果、非常にミクロな構造の違いが拡散性というマクロな物性に顕著に影響いていることが初めて明らかになった。特に、低分子の拡散係数の濃度依存性に顕著な相違があらわれることが分かった。拡散係数の濃度依存性は、溶融押出法におけるGI-POFの屈折率分布を決定する重要な要素であることから、ベンゼン環が濃度依存性に与える影響を考慮することで、屈折率分布制御が可能になる。 3.溶融押出法による屈折率分布制御法の確立 溶融押出法で用いることが検討されている材料および実験条件を考慮した屈折率分布形成過程のシミュレーションを行い屈折率分布の時間推移を調べたところ、屈折率分布形状が安定化するという予想外の現象が見出された。これを積極的に利用することで、我々は最適屈折率分布を有するGI-POFを安定的に作製することができるようになった。GI-POFの研究の歴史の中で、ファイバの屈折率分布の安定制御を実現した例は存在していなかったことを考えると、この成果は工業的にも学術的にも極めて重要で、有用な知見である。
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Research Products
(19 results)