2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランドの家族介護とイエ・親族―福祉国家における老いの人類学的研究―
Project/Area Number |
09J04959
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門田 絵里香 (高橋 絵里香) 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | エイジング / フィンランド / 地域福祉 / 文化人類学 / 民族誌 |
Research Abstract |
平成22年から予算繰越後の平成23年にかけて、申請者の調査地域であるフィンランド西南部のヴェスト・オーボランド町における家族介護の実態に関する悉皆調査を行った。自治体に登録された123件の家族介護についてアンケート調査を実施した。その結果として、同自治体における家族介護の概況と特性を掴んだことは、平成24年度の本調査にむけて欠かせないステップであったと考える。 この他、『九州人類学会報』に掲載された論文「道徳としその地域社会とエイジング-社会的なものの領域への語り口から-」は、平成22年11月の九州人類学研究会オータムセミナーにおける発表をまとめたものである。また、『国立民族学博物館研究報告』に掲載された論文「<在宅>の思想-フィンランド西南部の地域福祉にみる市民社会の範域とエイジング-」では、人類学の領域におけるこれまでの市民社会論を整理しつつ、その現れとしてのローカルガバナンスの進展について、フィンランドの高齢者を対象とした地域福祉の展開を事例にその市民社会性について検討を加えた。さらに、6月11日・12日に開催された日本文化人類学会の第45回研究大会では、「政策としての全体論-地域福祉をめぐる<実践人類学>再考」と題する発表を行った。 以上のような人類学と民族誌記述に関する理論的成果は、申請者の調査対象地域において進行する福祉国家の規模縮小と家族介護の拡大という事態を解釈する土台となった。
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Research Products
(10 results)