2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04966
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石橋 悠人 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グリニッジ天文台 / 世界標準時 / 経度 / 本初子午線 / 時報サービス |
Research Abstract |
平成22年度には、イギリス国内においてグリニッジ標準時が浸透した経緯およびその社会的な影響に関する研究を行なった。まずグリニッジ天文台の実用的な機能についての理解を深めるための前提として、18世紀初頭から19世紀前半を対象に、同天文台の学者たちが海上において経度を正確に計測するという課題にどのように取り組んだかを解明する雑誌論文(『一橋大学社会科学古典資料センター年報』〉と単著(『経度の発見と大英帝国』)を発表した。同書では、経度の測定と世界標準時の設定という二つの主題が、密接に結びついていたことを示唆している。 次に、主としてケンブリッジ大学図書館所蔵のグリニッジ天文台関連文書の解読から、19世紀中葉に開始された同天文台による時報発信サービスの特徴を検討し、その成果を研究論文としてまとめるとともに、「近代英国におけるグリニッジ標準時の浸透」という題目で発表を行なった。従来の研究では、グリニッジ標準時の伝達システムがどのように活用されていたかという点について、詳細な分析が行われてこなかった。そこで本研究は、ロンドンおよび地方都市における時報伝達に関する技術の革新と移転.英国海軍における時報発信装置の航海術への応用、そうした科学と技術に対する科学者と一般市民の認識、標準時を伝える時報の正確性の程度とそれをめぐる責任の所在といった問題を軸に調査を行ない、国内に標準時が一般化した要因とその歴史的な意義を総合的かつ実証的に明らかにした。
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Research Products
(3 results)