2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04969
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐竹 朋子 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 公家社会 / 有職故実 / 学問 / 滋野井実澄 / 滋野井実全 / 勧修寺高顕 |
Research Abstract |
平成21年度は、京都大学総合博物館所蔵の『滋野井公澄日記』(全34冊・原本)、『滋野井実全日記」(全35冊・原本)、『滋野井公麗日記』(全26冊・原本)を中心に、公家の学問の実態や有職故実研究について検討を行うことで、公家社会の構造的変化について考察を行う事を計画した。 研究成果としては、滋野井家の日記を分析する事で、享保期の公家社会では、同じ家礼に属する公家同士や、一門内において、漢籍の講読会や、儀式書・六国史・漢籍等の貸借や校合作業が行われており、宮中では儀式書や歌集の書写活動が行われていた事を明らかにした。その上で、当該期の公家社会における先例に対する認識について、勧修寺高顕の日記(『勧顕日記」全9冊[写真帳]、京都大学総合博物館所蔵)に記された勧修寺一門の碑石建立一件を検討する事で、「本朝之古制」は失われ、本朝は「諸道」が入り混じっている事が風俗であり、先例よりも道理を重視するしかないという認識であった事を指摘する報告を行った事が上げられる。 この指摘は、今後、宝暦事件や、光格天皇の在位中に行われた寛政期の内裏造営では、天皇、朝廷側が、平安朝の古制への復古を目指したとされる事例について考える上で、比較検討材料となるであろうと考えている。 また、研究課題遂行のため、検討素材となる公家日記や関連史料の調査を行う事を計画し、東京大学史料編纂所や宮内庁書陵部へ出張した。そして、野宮家の日記を中心に、学問や人生儀礼の記述が豊富な史料を多く収集する事ができた。平成22年度は、さらに積極的に史料調査と収集を行いたい。
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Research Products
(1 results)