2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04969
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐竹 朋子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 滋野井公澄 / 滋野井実全 / 滋野井公麗 / 有職故実 / 学文 / 松下見櫟 / 堀正宗 / 近衛家? |
Research Abstract |
本年度は、研究課題「近世公家社会における学問と人生儀礼の研究」において、近世中期の公家衆が何を目的として学問をおこなっていたのかについて検討をおこなった。 そこで、当該期の公家社会でおこなわれた人生儀礼について記された未活用史料や、公家社会において重要な役割を果たした儒学者らの調査を目的として、宮内庁書陵部や東京大学史料編纂所をはじめとする史料所蔵機関への出張を積極的におこなった。 具体的には、滋野井公澄・実全・公麗の日記(京都大学総合博物館所蔵)を分析するなかで、例えば、滋野井実全は、松下見櫟や堀正宗などの儒学者から教えをうけていたことが明らかとなった。松下見櫟や堀正宗は、近衛家熈が実施した『大唐六典』の校合作業において中心的役割を果たしており、当該期の公家社会でおこなわれた学問を検討するうえではかかせない人物である。そこで、松下見櫟や当該期の公家衆の日記などから、松下見櫟や堀正宗について調査をおこなった。 本研究は、高埜利彦氏(同「江戸幕府の朝廷支配」(『日本史研究』319号、1989年)、同「後期幕藩制と天皇」(『講座・前近代の天皇第2巻天皇権力の構造と展開その2』(青木書店、1993年)が第二の変容期と主張し、藤田覚氏(同『幕末の天皇』(講談社選書メチエ26、講談社、1994年)、同『近世政治史と天皇』(吉川弘文館、1999年))が具体的な検討をおこなった、光格天皇の君主意識をもとに実行された朝儀再興や、寛政期の内裏造営を契機として活躍しはじめる「復古派勢力」と呼ばれる公家衆の動向が、近世の公家社会においてどのような意味において画期であったのかを再検討するためや、幕末の公家社会におこった勉強熱の高まりがなぜ可能であったかを検討するうえでも重要であると考える。
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Research Products
(2 results)