2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04969
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐竹 朋子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 北浦定政 / 藤堂藩 / 文久の修陵事業 / 学問 / 先例 / 滋野井公澄 / 滋野井実全 |
Research Abstract |
本年度は、特別研究員奨励費申請書において記した通り、近世後期の公家社会に出入した儒学者や国学者の史料が所蔵されている各機関への出張を積極的におこなった。 その成果の一つとして、在野の国学者である藤堂藩城和奉行所役人北浦定政を素材として、朝廷と関係を結ぼうとする藤堂藩について考察した拙稿「藤堂藩と文久の修陵事業」を『史窓』に発表した。幕末の藤堂藩は、佐幕派とされていながら、慶応四年(一八六八)正月、山崎関門の守衛に就いていた伊賀城代藤堂采女率いる軍隊が、勅状を奉じて幕府軍へ砲撃したため、幕府軍敗走の一因となった事態を引き起こしたが、これまでに、藤堂藩側からの説明がなされてこなかった。しかし、今回、北浦定政を素材とする事で、文久期に修陵事業を通じて取り結ばれる朝廷と藤堂藩との関係を明らかにすることができた。 また、本年度の研究目的として、近世公家社会で行なわれた人生儀礼について検討を行うことで、公家の先例への意識の変化を考察することを記した。そこで、近世中期の公家社会における学問観についての研究を行った。近世中期の公家社会における学問とは、先例や儀礼を調査することであるが、田島公編『禁裏・公家文庫研究』第1~3輯(思文閣出版、2003~2009年)等では、当該期の公家衆が、禁裏文庫へ書籍集積のため、書籍貸借や書写等を盛んに行っていた事が明らかにされている。しかし、そういった公家衆が行なった学問の内実は未だ検討がなされていない。そこで、今後、近世後期の政治的状況を視野にいれつつ、公家社会で盛んにおこなわれた学問の意義を位置づけなおすことができる研究成果となるであろうと考えている。
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Research Products
(1 results)