2010 Fiscal Year Annual Research Report
移民と新たなアメリカ労働運動―移民日雇いをめぐる多様な運動主体と地域コミュニティ
Project/Area Number |
09J04976
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
毛利 さとみ 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 移民 / 労動運動 / アメリカ / Migration / Labor movement / Worker center / Unionism / Day labor |
Research Abstract |
本研究は、アメリカにおける移民日雇い労働市場の拡大とその組織化に焦点を当て、労働組合側の運動とコミュニティにおける運動の双方を対象として、移民を包摂する新たな労働運動の社会的プロセスついて調査分析を行うものである。2年目となる平成22年度は、1.初年度に実施したフィールド調査の聞き取りデータの分析整理、2.「社会運動ユニオニズム」に関する先行研究レビューと分析枠組みの構築、3.1~2月のロサンゼルスにおける労働組合とコミュニティ組織に関する追加フィールド調査、を実施した。成果の第一点目は、移民日雇い労働市場の組織化を事例として、アメリカにおける「社会運動ユニオニズム」のローカルレベルにおける進展プロセスを実態的に把握し、新旧の労働運動の接近や組織的相互連関の可能性・障壁を考察することで長期的な制度化についての課題を示した点である。第二点目は、地域モデルとしてのロサンゼルスの特徴である、コミュニティ組織と労組との連携の背景となった近年の移民の組織化の文脈や人的ネットワークの形成などの点について踏まえたうえで、先進的な組織化キャンペーンを成り立たせている要因への理解を深めたことである。第三点目は、あまり調査が行われて来なかった建設 労組、特に大工組合を対象として追加的フィールド調査を実施したことである。特に、技能育成供給制度やユニオン市場拡大論理による組織化戦略に注目し、今日の労働運動の本流やコミュニティにおける運動とも異なる、独自の労組織の組織変革について明らかにした。また、労組の組織変容に関しては国際比較の観点から日本の建設労組に関しても最新の動向をフォローしながらユニオニズムの変容について考察した。本研究の成果は、単行本『21世紀への挑戦1哲学・社会・環境』に論文を掲載し、第14回ASIAN STUDIES CONFERENCE JAPANおよび社会運動論研究会において発表した。
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Research Products
(4 results)