2011 Fiscal Year Annual Research Report
移民と新たなアメリカ労働運動―移民日雇いをめぐる多様な運動主体と地域コミュニティ
Project/Area Number |
09J04976
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
毛利 さとみ (惠羅 さとみ) 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 労働運動 / 移民 / アメリカ / Labor movement / trade union / Day labor / immigrant |
Research Abstract |
本研究は、アメリカにおける移民日雇い労働市場の拡大に焦点を当て、移民を包摂する新たな労働運動のあり方について、実証的に解明することを目指すものである。研究目的は、1)労働組合運動の内部変容とその課題、2)地域コミュニティを基盤とした移民組織化運動の特徴とプロセス、3)労働組合運動および非組合型運動の双方を対象とした組織的相互連関のあり方、4)地域間比較分析、5)エスニックな紐帯や文化が移民労働運動に果たす役割と、国民国家の枠を超えたトランスナショナルな論理やマルチ・エスニックな相互連関の浸透過程を考察することである。第3年目にあたる平成23年度の研究計画では、アメリカの「社会運動ユニオニズム」の進展の多面的展開についてまとめていくことを課題とし、フィールド調査を含めたより実証的な調査分析を試みるとともに、長期的な在外研究を通じた研究者との交流・議論と、海外での研究発表を計画した。実施内容としては、1)4月から10月にかけてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に客員研究員として滞在し、西海岸を拠点として複数の都市でフィールド調査を行うと共に、2)UCLA都市貧困研究センターにおいて国際ワークショップの企画開催と研究発表を行った。1つ目のフィールド調査では、労働組合、研究機関、移民支援組織等において、組合リーダー、オルガナイザー、若年マイノリティ見習い工や労働者、企業団体に対して聞き取り調査を行い、(1)移民を組織化する組合運動の複合的戦略、(2)労働運動が置かれる地域的構造、(3)国際比較と産業分析的視点からの特徴を明らかにした。2つ目の国際ワークショップでは、災害復興と労働者というテーマで日米から研究者を招聘し、労働運動の地域的戦略比較について自ら発表を行うとともに、全体では都市の再建設をめぐる「復興マシーン」としての利害関係図というキータームを軸に、両国の共通点や相違点が議論され、地域行政と復興政策・産業構造・マイノリティの雇用・コミュニティ組織や労働組合の役割などについて、複数の研究分野をまたぐ建設労働に関する相互理解と知的共有がなされた。
|
Research Products
(3 results)