2009 Fiscal Year Annual Research Report
栄養源検知に関わるTORシグナル経路の制御機構の解析
Project/Area Number |
09J05033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畠山 理広 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TOR / 栄養源 / トランスポーター / アレスチン / エンドサイトーシス / ユビキチン |
Research Abstract |
当研究室における先行研究によりTOR経路との遺伝学的関連が見出されている機能未知遺伝子ALY1、ALY2の機能解析に焦点を当てて研究を進めている。当研究により、Aly1/2がアスパラギン酸/グルタミン酸トランスポーターDip5の恒常的およびアスパラギン酸依存的なエンドサイトーシスに関与することを明らかにした。その分子機構は、Aly1/2がアスパラギン酸刺激依存的にユビキチンリガーゼRsp5をDip5へとリクルートすることによって両者をつなぐアダプターの役割を果たし、Dip5のユビキチン化とそれに続くエンドサイトーシスを制御しているというものであった。TOR経路との関連については、アスパラギン酸が複数のアミノ酸のなかでもTOR経路を特に強く活性化する効果をもつことを明らかにし、このことからAly1/2がDip5のエンドサイトーシスを介してアスパラギン酸の取り込みに関与することは、TOR経路の活性制御に重要な影響を与えることが示唆された。またTOR阻害剤であるラパマイシン処理によりDip5がAly2依存的にエンドサイトーシスされたことがら、Aly2が逆にTOR経路の下流で制御を受ける、すなわちAly2とTOR経路が相互に制御関係にある可能性も見出した。本研究の意義は、Aly1/2の分子機能を解明することを通して、エンドサイトーシス制御とTOR経路との関係性を見出した点にある。細胞と外界との接点で起こる栄養源取り込みの制御メカニズムと、細胞内栄養シグナリングの中心に位置するTOR経路との関わりようは、細胞の栄養源応答の全体像を理解する上で重要な足がかりとなるはずである。
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Research Products
(2 results)