2010 Fiscal Year Annual Research Report
栄養源検知に関わるTORシグナル経路の制御機構の解析
Project/Area Number |
09J05033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畠山 理広 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TOR / 栄養源 / トランスポーター / アレスチン / エンドサイトーシス / ユビキチン |
Research Abstract |
細胞が栄養源に応答する上で中心的な役割を果たすのがTORキナーゼ経路である。この経路と関連することがわかっていた新規遺伝子ALY2について機能解析を行ってきた。これまでにAly2がアスパラギン酸/グルタミン酸トランスポーターDip5のエンドサイトーシスに関与することを明らかにしている。 今年度はさらにAly2が制御される機構について調べることにより、トランスポーターのエンドサイトーシスを介した栄養源の取り込み制御が、細胞の置かれた状況に応じてどのように影響を受けるかを調べた。その結果、Aly2はTOR経路が阻害される、すなわち細胞が栄養源飢餓に置かれた場合にその量が増えること、また、細胞が細胞周期のM期にあるときに量が増えるとともにリン酸化されることを見出した。またTOR経路阻害、M期への侵入のいずれもDip5のエンドサイトーシスを引き起こすこともわかった。従ってこれらの状況下でAly2の機能が正に制御されることがDip5のエンドサイトーシスの原因となっている可能性が考えられる。TOR経路によるアミノ酸トランスポーターのエンドサイトーシス制御という現象については以前から知られていたが、その制御点はこれまで明らかにされておらず、少なくともその一つがAly2であることが本研究により初めて示された。いっぽう細胞周期の進行とアミノ酸トランスポーターのエンドサイトーシスとの関連はこれまで報告されていない新規の現象であり、その生理的な意義は興味深い。 結論として、アミノ酸トランスポーターのエンドサイトーシスが栄養源の多寡や細胞周期進行の影響を受けること、その少なくとも一部はAly2を介していることがわかった。アミノ酸の取り込み制御はTOR経路の中心的な機能の一つであり、Aly2はそのエフェクターとして細胞の様々な状況への適応に重要な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(3 results)