2011 Fiscal Year Annual Research Report
Notch小胞輸送制御因子の探索による膜タンパク質局在化機構の解明
Project/Area Number |
09J05081
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
青山 尚規 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ショウジョウバエ / Notch情報伝達系 / 小胞輸送 / RNA干渉法 / ESCRT複合体 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
Notch情報伝達系の受容体であるNotchは、線虫からヒトまで進化的に広く保存されており、極めて多くの細胞の運命決定に関与しています。また、白血病や癌などの原因として、Notch情報伝達系の異常が報告されています。近年、Notch情報伝達系を制御する重要な要素として小胞輸送が注目されており、その分子機構が徐々に明らかになってきています。本研究は、Notch小胞輸送の分子機構を解明することを目的としています。 私はこれまで、ショウジョウバエ生体内において、約5000遺伝子に対するRNA干渉(RNAi)を行い、Notch情報伝達系に異常が見られる遺伝子を網羅的に探索しました。その結果、有望な26遺伝子を同定しました。このうち8遺伝子の機能喪失型突然変異を作出し、Notchの細胞内輸送とNotch情報伝達に機能する遺伝子としてvps2を同定しました。酵母における研究から、Vps2はESCRT-III複合体の構成因子であり、エンドサイトーシスの過程において、multivesicular bodyの形成に機能していることが示唆されています。 本年度、ショウジョウバエvps2機能喪失型突然変異体を用いて、Notch情報伝達系におけるvps2遺伝子の機能解析を行いました。vps2突然変異ホモ接合体胚では、高温状態においてNotchの異常な細胞内分布と末梢神経の増加が観察されました。神経細胞の増加は、Notch情報伝達系が低下した場合の特徴的な表現型です。このことから、胚発生時期において、Vps2は高温状況下におけるNotch情報伝達の活性化に必要であることが示唆されました。また、幼虫の翅成虫原基において、vps2遺伝子のコンディショナルノックアウトを行うと、Notchの細胞内分布が異常になり、Notch情報伝達活性の指標であるvestigial boundary enhancer LacZレポーターの発現が増加しました。このことから、Vps2は翅成虫原基においてNotch情報伝達を抑制することが示唆されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、8遺伝子に対して機能喪失型突然変異体を作出しましたが、RNA干渉における表現型から期待されるようなNotch情報伝達における異常がほとんど現れなかったたため、想定したよりも目的の遺伝子を同定するのに時間がかかりました。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、vps2遺伝子に絞って機能解析を進めることにしました。Vps2タンパク質に対する抗体を作製しましたが、特異的なシグナルは得られませんでした。解決策として、mycタグ付きVps2タンパク質を形質導入したショウジョウバエを作出することにしました。
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Research Products
(1 results)