2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ消化管の左右非対称形成に必須な上皮密着結合の新規機能の研究
Project/Area Number |
09J05082
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
川勝 康弘 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ショウジョウバエ / Septate Junction / 上皮密着結合 / 左右非対称性形成 |
Research Abstract |
これまでSJ構成因子の機能は上皮細胞でよく研究されているが、内臓筋におけるSJ構成因子の存在及び、それらの機能は全く未知であった。SJ構成因子をコードする遺伝子の突然変異体の内臓筋の発生過程を詳細に観察した結果、通常では胚の左右から環状筋が伸張し、胚の中央部分で癒着するのに対し、これらの系統では環状筋の伸張は行われるものの、中央部分での接着が正常に行われず、腹側、および背側に間隙が生じているのがみられた。 ショウジョウバエ胚消化管の筋肉は大きく2つに分類される。一つは左右から伸張し、消化管を環状に覆う環状筋。もう一つは消化管を前後に結ぶ縦走筋である。正常な左右非対称性形成に、どちらの筋肉組織がより重要な役割をしているかを確かめるために、SJ構成因子をコードする遺伝子の突然変異体のホモ接合体胚において、UAS-GAL4システムを用いてそれぞれの組織特異的に正常なSJ構成因子を発現させたところ、環状筋で発現させた場合に、表現型の救済が確認された。また、これまで上皮細胞のみに存在すると考えられていたSJ構成複合体の主要な因子であるcoracleが、内臓筋でも発現していることを抗体染色により確かめた。このことから、SJ構成因子は左右から伸張してきた環状筋の中央部分での接着に、重要な働きをしていることが示唆された。これまでの研究から、ショウジョウバエ胚中腸前半部の消化管の正常な左右非対称性形成には、環状筋の正常な発生が必要であることがわかっている。環状筋においてSJ構成因子が正常に形成されない場合、環状筋の正常な接着が阻害され、結果的に左右非対称性形成に異常が生じるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)