2010 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ消化管の左右非対称形成に必須な上皮密着結合の新規機能の研究
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09J05082
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
川勝 康弘 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 上皮密着結合 / 筋肉細胞 / 形態形成 |
Research Abstract |
多くの動物の内臓器官の配置は左右非対称であり、その非対称性は遺伝的に決定されると考えられている。マウス・ゼブラフィッシュなどの脊椎動物では、発生初期のノード流によりよって形成された左右極性がnodal, leftyなどのTGFβタンパク質の発現を誘発し、その後の発生における左右非対称性形成に関与していることが知られている。 しかし、線虫やモノアラガイなどの無脊椎動物では、卵割初期から左右非対称性が観察されることから、ノード流モデルとは異なる仕組みで左右非対称性が形成されていると考えられている。そこで私は、モデル生物であるショウジョウバエを用いて、無脊椎動物の左右非対称性形成の機構を明らかにしようと試みた。 ショウジョウバエの内臓器官は前腸、中腸、後腸の3つに大きく分類できる。この中で私は中腸の左右非対称性形成に着目して研究を行ってきた。その結果、中腸の前半部分と後半部分ではその決定にかかわる組織が異なることを発見した。前半部分は筋肉組織依存的であり後半部分は上皮組織依存的であった。 ショウジョウバエの上皮密着結合の役割は上皮において広く研究されてきた。しかし私は、ショウジョウバエ中腸前半部分の左右非対称性形成の異常がみられる系統として、この上皮密着結合の構成因子を複数同定し、筋肉組織における上皮密着結合構成因子の新規の役割を探索してきた。これまでの研究で、ショウジョウバエの内臓の筋肉組織における上皮密着結合構成因子の役割が、筋肉細胞同士の正常な結合に重要であることを明らかにした。筋肉細胞内で上皮密着結合構成因子の正常な発現及び局在が起こらない場合、中腸の内臓筋細胞同士が正常に接着せず、また一旦接着しても形態形成の最中にこれが乖離してしまうことが解った。
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