2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスベクターにより誘導した内在性遺伝子の転写型ジーンサイレンシングの解析
Project/Area Number |
09J05091
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲場 純一 Hokkaido University, 大学院・農学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウイルスベクター / エピジェネティクス / 植物 |
Research Abstract |
研究従事者らは以前に、Cucumber mosaic virus(CMV)を改変したウイルスベクターであるA1ベクターに野生型ペチュニアV26系統のchalcone synthase(CHS)遺伝子のpromoter領域を挿入したA1-CHS proを用いて、CHS遺伝子を標的にTGSを誘導することが出来た。今年度の研究では、後代に接種当代で誘導されたTGSが遺伝するかのか明らかにする、自殖後代植物の解析を行った。本研究でウイルスベクターとして用いたCMVは種子伝染しないために、A1-CHS proによりTGSが誘導された個体から得られた自殖後代ではA1-CHS proが存在しない。 A1-CHS pro接種後代では、A1-CHS pra接種当代個体と同様に花弁に細かな白い斑点が現れ花粉の稔性が低下するという形質の変化が観察された。real-time RT-PCRによりCMV-CHS pro接種後代の花弁でのCHS遺伝子のmRNA蓄積量はベクター接種後代に比べ、大きく減少していることが示された。この時、TGSの引き金となるsiRNAはA1-CHS pro接種後代では検出されなかった。A1-CHS pro接種後代の花弁でのCHS promoter領域のsodium bisulfite法によりDNAのメチル化を、クロマチン免疫沈降法(ChIP)によりヒストンの修飾変化を解析した。その結果、A1-CHS pro接種後代では、ベクター接種後代に比べ、CHS promoter領域において低頻度ながらDNAのメチル化とヒストン修飾の変化が観察された。これらの結果からA1-CHS proの接種により誘導されたTGSはA1-CHS pro接種後代においても維持されCHS遺伝子の発現が抑制されたことが明らかとなった。
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