2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 修司 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゼータ関数 / L関数 / 総実代数体 / スターク予想 |
Research Abstract |
私の研究課題は、総実代数体のDirichlet L関数に対して、s=0における0でない最初の展開係数の解析的表示、およびその幾何学的解釈を考察することである。この値はStark-新谷予想を通じて類体構成問題(Hilbertの第12問題)と直接に関わってくる数論的に重要な量である。これまでの研究により、1次の係数の場合に、多重正弦関数の特殊値の有限積として解析的・組合せ的表示が得られている(この結果は今年度雑誌に発表された)が、このような表示の内在的根拠は十分理解されていないため、その点を明らかにするような幾何学的裏付けを与えることを目標としている。今年度は主としてHirzebruch予想の類似・拡張という観点から考察を行った。ここでいうHirzebruch予想とは、0次の係数すなわち定数項が0でない場合に、そのL関数の特殊値に対してHilbertモジュラー多様体の尖点における符号不足数という形で幾何学的解釈を与えるもので、微分幾何や代数幾何に基づく幾つかの証明が知られている。特にAtiyah-Donnelly-SingerやBismut-Cheegerによる微分幾何的証明では、あるトーラス上のトーラス束におけるスペクトル不変量(エータ不変量)とL関数の特殊値との関係を利用する。この場合のL関数に対応する指標は、無限成分がノルムの符号となっているものであるが、1次の場合を扱うためには1つの実素点の符号がないものを考える必要がある。そこで各ファイバーのトーラスにおいて、その実素点から定まる葉層構造を加味することにより、上記のスペクトル不変量の適切な変形が得られると予想し、0次の場合の議論をいかに拡張するかということを中心として理論・アイデアの検証を行った。
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Research Products
(3 results)