2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 修司 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゼータ関数 / L関数 / 多重三角関数 / スターク予想 / 多重ゼータ値 |
Research Abstract |
私の研究は,総実代数体のゼータ関数およびL関数の特殊値,特にs=0における最初の展開係数の解析的表示(クロネッカー極限公式)と,その幾何学的解釈に関するものである.特に1次の係数を用いて定義される新谷の類不変量,および各無限素点に対応する因子が,スターク予想との関連において重要な意味を持つ.また総実代数体のL関数がある種の多重ゼータ関数を用いて表されることから,種々の多重ゼータ関数やその特殊値についても研究を行っている. 本年度の研究では,実2次体におけるこれらの不変量に対して,以前の研究で与えた二重正弦関数の値の有限積による表示をもとに,ある無限積で与えられる関数の比の極限という形の新しい解析的表示を得た.さらに,以前の結果を用いない直接証明も得られた.ここで用いる無限積はヤコビのテータ関数の三重積公式における3つの無限積のうちの1つであり,q解析における基本的な対象である.一方,極限は上半平面上の変数を実2次体の無理数に近づけるものであり,従来あまり考えられていないタイプの操作である.以前の表示では有限積を作るときに用いる組合せ的データの考察が重要とみられたが,新しい表示により,この極限操作の解析的な研究が問題として浮かび上がってきたと言える. また,多重ゼータ関数についての研究成果として,ある種の多重L値に対する交代和公式を証明した.これはEssouabri-松本-津村による予想を解決したものである.また今富-田中-田坂-若林によって予想された等号付き多重ゼータ値の関係式の1つを証明した.
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Research Products
(3 results)