2009 Fiscal Year Annual Research Report
非Fock空間における無限次元Lie群の表現論の研究
Project/Area Number |
09J05106
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷部 高広 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単調Fock空間 / キュムラント / レヴィ過程 / 単調独立性 / 生成消滅演算子 / ゲージ群 / エネルギー表現 |
Research Abstract |
ゲージ群の表現については、2005年に出版された関連論文に欠陥があることが分かり、その指摘などを含めた論文を現在投稿中である。その関連論文の結果についてはすでに疑問に思っていた研究者もおり、間違いを指摘したのは重要な貢献だと言える。非Fock空間の研究について、単調独立性という独立性に付随する単調Fock空間の上の生成消滅演算子を調べる中で、単調キュムラントの概念を定義するに至った(西郷氏との共同研究、投稿中)。これは生成消滅演算子との深い関係が期待される概念であり、たとえば自由確率論においては自由キュムラントというものがあり、自由Fock空間でそのような関係が知られている。また生成消滅演算子を使ってレヴィ過程という(非可換)確率過程が表現できることが知られており、その関連で私は単調独立性に付随するレヴィ過程の分布の性質を調べた(2010年に出版予定)。さらに単調独立性の拡張として「条件付き単調独立性」を定義し、対応する非Fock空間があるかどうかという問題が興味深くなってきた。こういった結果を国内外(とくにポーランド、チリ)で発表した。以上の研究結果は表現論と確率論の関係を追及する中で出てきたものであるが、結果として非可換確率論へ大きく貢献することができた。これまでのところは表現論的な研究までは行けなかったが、量子群におけるq変形と非可換確率論における独立性はあるレベルでは統一的に理解できることなどが知られているため、今後の発展が期待できる。
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