2010 Fiscal Year Annual Research Report
非Fock空間における無限次元Lie群の表現論の研究
Project/Area Number |
09J05106
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷部 高広 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単調独立性 / 自由独立性 / キュムラント / 単調フォック空間 / コーシー分布 / 条件付き単調独立性 / 狭義安定分布 / 無限分解可能分布 |
Research Abstract |
まず単調たたみこみ積についての無限分解可能分布の性質を研究した.この分布は「単調フォック空間」上のレヴィ過程の分布に相当する.その中でも重要なのが「狭義安定分布」の分類と,正の実軸上に台を持つ無限分解可能分布の分類である.どちら結果も確率論の場合と同じになることが分かった.しかし証明の方針は全く異なったものであり,同じ結果になる理由は明らかになってはいない. 西郷甲矢人氏との共同研究では「単調キュムラント」の概念を導入し,その一意性を示した.単調キュムラントは確率論や自由確率論でのキュムラントと異なり,独立な確率変数の和に対して加法的に振舞わない.この研究は確率論のキュムラントにまで新しい視点を提供するものであり,「独立性」を一般的に研究してきたことによる成果である.さらに,単調キュムラントは単調フォック空間の構造解析において重要な役割を果たすと考えられる. 新しい独立性として「条件付き単調独立性」を定義した.この研究によって単調独立性とブール独立性に対する理解が一段と進んだ.さらに,付随する加法的たたみこみ積(つまり二つの独立な確率変数の和の分布)と乗法的たたみこみ積(独立な確率変数の積)を研究し,その複素解析的な性質を明らかにした.今後はフォック空間を用いた記述を整備することが課題である. コーシー分布が「複素平面上の一点にあるデルタ測度」に類似していることに注目した.その原因を追及した結果,通常の意味でモーメントをもたないような確率測度に対しても,ある場合には複素数としてのモーメント的なものを定義できることを示した.そのような確率測度全体を特徴づけると,ある種のPaley-Wiener型の定理になることもわかった.
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