2009 Fiscal Year Annual Research Report
器官の非対称性に従って細胞極性を形作る膜輸送メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J05145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀内 伸也 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平面内細胞極性 / Drosophila melanogaster / Flamingo / Ubiquilin |
Research Abstract |
研究計画に基づき、平面内細胞極性(PCP)を制御するcore groupタンパク質のひとつであるFlamingo(Fmi)の結合因子候補VAP-33Aの変異体でPCPの異常が見られるかをモザイク解析によって検討したところ、予想に反して、翅毛の配向は正常であり、抗Fmi抗体による染色でも異常は見られなかった。 次に、PCP形成に異常を示す突然変異体の遺伝学的スクリーニングを完了させた。X染色体上に致死性の突然変異を誘発した3000系統について、モザイク解析の手法を用いてスクリーニングした結果、PCP形成に異常を示す系統を約60系統分離した。これらの系統でFmiの細胞内局在を調べたところ、異常な局在を示す系統が複数含まれていた。これらの中で、Fmiの局在に異常を示す系統のひとつ(#8447)は次Fmiが細胞の近位-遠位境界ではなく、前-後境界に異所的に局在するという興味深い表現型を示した。この表現型は、翅の遠近軸の情報が細胞間で適切に伝達されず、異所的な細胞境界にFmiが輸送されることによって生じている可能性がある。 #8447の原因遺伝子を同定するため、一塩基多型(SNP)マーカーを用いたマッピングをおこなったところ、ubiquilin(buqn)のORFにナンセンス変異を発見した。Ubqnは酵母からヒトまで保存された細胞質タンパク質であり、ユビキチン化されたタンパク質のプロテアソームによる分解を促進すると考えられている。しかしながら、UbqnがPCP形成においてどのような役割を果たすのかは全く知られていない。Ubqnを全身で発現するトランスジェニック系統を作製したところ、#8447の致死性を相補することができ、レスキュー個体ではPCP異常は見られなかった。このことから、#8447の原因遺伝子はubqnである可能性が非常に高いと考えられる。
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Research Products
(2 results)