2010 Fiscal Year Annual Research Report
器官の非対称性に従って細胞極性を形作る膜輸送メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J05145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀内 伸也 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平面内細胞性 / Planar Cell Polarity / Drosophila melanogaster / Flamingo / Ubiquilin |
Research Abstract |
器官の軸と一細胞の非対称性をつなぐモデル系として、ショウジョウバエの翅表皮細胞の平面内細胞極性(planar cell polarity ; PCP)に着目して研究を進めている。 遺伝学的スクリーニングによって、PCP形成に異常を示す変異体を分離した。得られた変異体のひとつは、マッピングとレスキュー実験の結果から、原因遺伝子がubiquilin (ubqn)であることが明らかになった。ubqn変異細胞では、PCP形成を制御するcore groupタンパク質のひとつであるFlamingo (Fmi)が異所的な細胞境界に局在する。この表現型は、翅の遠近軸の情報が細胞間で適切に伝達されず、異所的な細胞境界にFmiが輸送されることによって生じている可能性がある。Ubqnはユビキチン化されたタンパク質のプロテアソームによる分解を促進すると考えられている。PCP形成の過程でUbqnによる制御を受けるタンパク質を同定できれば、Ubqnを介した極性情報の伝達メカニズムや、core groupタンパク質の輸送メカニズムを解明できる可能性がある。 生化学実験および細胞内の局在の解析に用いるため、Ubqnに対する抗体を作製したところ、ウェスタンブロットおよび免疫組織染色いずれにも使用できる特異的な抗体が得られた。今後この抗体を用いて詳細な解析をおこなうことで、Ubqnの細胞内の動態を明らかにできると考えられる。 ハエゲノム中には、Ubqnと類似した構造を持つタンパク質をコードする遺伝子として、Rad23とCG31528が存在する。これらの遺伝子とunqnを同時にノックダウンすると、単独でノックダウンした場合と比較して・翅脈や翅自体の形成の異常がより顕著なものとなった。今後より詳細な解析を通じてこれらの遺伝子がPCP形成において果たす役割を解明できると期待される。
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Research Products
(2 results)