2011 Fiscal Year Annual Research Report
器官の非対称性に従って細胞極性を形作る膜輸送メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J05145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀内 伸也 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平面内細胞極性 / ubiquitin / ユビキチン / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
平面内細胞極性を調節する遺伝子をよゲノムワイドスケールで探索する必要から、以下のような遺伝学的スクリーニングを行った。標的とした染色体は、PCPに異常を引き起こす突然変異の網羅的な探索がされていなかったX染色体(ハエにおける第一染色体;全ゲノムの20%を占める)である。突然変異を誘発した10,000以上のX染色体のそれぞれについて、モザイク解析法を用いて成虫の翅を観察し、翅毛の向きが異常になる表現型を示す57系統を分離した。さらに各々の突然変異について、コアグループに属するFmiの細胞内局在や細胞内翅毛形成部位を観察して、それらの表現型や表現型の浸透度などから18系統に絞り込んだ。このうちubiqulin (ubqn)に注目して研究を進めた。 ubqn突然変異細胞と野生型細胞とが接する境界付近の細胞だけが、極性異常を示した。Ubqnタンパク質はubiquitin associated domain (UBA)とubiquitin-like domain (UBL)を持ち、酵母からヒトまで保存されているファミリーの一員である。ユビキチン化されたタンパク質のプロテオソームによる分解を促進すると考えられているが、同じファミリーに属する別のショウジョウバエタンパク質Rings lost(Rngo; Morawe et al.,JCB, 2011)では、個体の生存にも表現型(Rngoの場合、卵巣での表現型)の回復にもUBAは必須ではなかった。そこでUbqnの構造-機能解析を進めたところ、個体の生存にはUbqnのUBLは必須ではないが、UBAは必要だった。また、ubqn突然変異細胞内において、ユビキチン化されたタンパク質がプロテオソームによって分解されるまでのいずれかの過程に異常があるかを検討した。ユビキチン抗体で染色したところ、ubqn突然変異細胞内にパンクタ状のシグナルが検出されたので、ユビキチン化されたタンパク質の異常な凝集体が形成されている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
突然変異体の原因遺伝子がubqnであることを証明でき、遺伝子産物の構造-機能解析に向って進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ubqn突然変異細胞内でのタンパク質のユビキチン化状態を網羅的に解析できないか、計画を立てている。
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Research Products
(2 results)