2010 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母における低容量ストレス応答の分子機構の解明
Project/Area Number |
09J05146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中條 萌絵子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 交差耐性 / ストレス応答 / HIRA |
Research Abstract |
本研究では、分裂酵母を用いて交差耐性の分子機構を解明することを目的としている。これまでに交差耐性欠損株の原因遺伝子として分裂酵母HIRAヒストンシャペロンをコードするslm9^+およびhipl^+を同定していた。本年度はSlm9およびHip 1のストレス応答における役割を解明するために研究を行った。 slm9遺伝子破壊株およびhip1遺伝子破壊株は交差耐性誘導ストレスの順序を逆にしても交差耐性に欠損を示すことから、Slm9およびHip1はストレス種によらず交差耐性に関与することが示唆された。質量分析を行った結果、Slm9およびHip1は他の生物種と同様に分裂酵母においても複合体を形成していることが明らかとなった。さらにその各構成因子の単独破壊株でも同様に交差耐性に欠損を示したことから、Slm9およびHip1は複合体として交差耐性に関与していることが示唆された。Slm9とHip1のタンパク質量および核局在はストレス条件下においても有意な変化は示さなかった。Slm9およびHip1の局在を詳細に明らかにするため、クロマチン分画を行ったところ、いずれのタンパク質もクロマチン画分に検出された。分裂酵母において種々のストレスに対する応答機構として、ストレス種によらず共通に誘導される一連のストレス応答遺伝子群が存在することが知られている。Slm9およびHip1がクロマチン画分に検出されたことから、転写に影響を与えている可能性を考え、これらのストレス応答遺伝子群の発現を野生型株および破壊株でRT-PCRにより調べた。その結果、slm9破壊株およびhip1破壊株では多くのストレス応答遺伝子の発現が野生型株と比較して低下していることが明らかとなった。したがって、Slm9およびHip1は転写制御を介して交差耐性に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)