2011 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母における低容量ストレス応答の分子機構の解明
Project/Area Number |
09J05146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中條 萌絵子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 交差耐性 / ストレス応答 / HIRA |
Research Abstract |
これまでに分裂酵母HIRAヒストンシャペロンが転写制御を介して交差耐性に寄与していることを示唆する結果が得られていた。本年度はHIRAのストレス応答における役割をさらに詳細に解明するために研究を行った。 HIRAがストレス応答遺伝子を特異的に制御しているかどうかを明らかにするために、マイクロアレイ解析を行った。得られたマイクロアレイの結果を基に遺伝子オントロジー(GO)解析を行ったところ、slm9やhip1の破壊によってストレス応答遺伝子群の発現が最も有意に影響を受けていることが明らかとなった。 また、ストレス応答遺伝子群の野生型株での発現変化量をプロットしたところ、致死ストレス後の発現変化量はプライミングストレスを与えておくことで顕著に増加することが明らかとなった。このことから、プライミングストレスによってストレス応答遺伝子の発現が促進され、結果として細胞は続いて起こるストレスに抵抗性を獲得しているという機構が考えられた。 ChIP解析を行った結果、Slm9はストレス条件下でのみストレス応答遺伝子領域に局在していることが明らかとなった。さらに、ストレス応答遺伝子の発現を制御する主要な転写因子として知られるAtf1を破壊すると、このSlm9の局在が見られなくなったことから、HIRAがAtf1などの転写因子によって特異的にストレス応答遺伝子領域にリクルートされることでこれらの遺伝子の発現制御を行っていることが示唆された。 また、HIRAが遺伝子発現調節を行う機構としてヌクレオソーム状態を変化させている可能性を示唆する結果が得られつつある。以上より、ヒストンシャペロンHIRAがストレス条件下においてクロマチン状態を制御することで遺伝子発現を変化させ、低容量ストレス応答に寄与するというモデルが考えられ、現在、学術論文として投稿中である。
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Research Products
(2 results)