2011 Fiscal Year Annual Research Report
カルバゾール分解プラスミドpCAR1と宿主染色体との相互作用の可変性・普遍性の解明
Project/Area Number |
09J05156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 裕里香 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラスミド / pCAR1 / IncP-7群 / タイリングアレイ / トランスクリプトーム / Pseudomonas属細菌 / 核様体タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では,含窒素芳香族化合物カルバゾールの分解プラスミドpCAR1を保持する3種のゲノム既知宿主の転写レベル・形質レベルでの比較によって,プラスミドと宿主染色体間の相互作用が異なる宿主でどのように変化するのか,またその差異を生みだす鍵となる因子は何か,を解析することで,多剤耐性菌の蔓延防止や分解菌による環境修復など実環境中でプラスミドを制御する技術の確立に欠かせない基礎情報を得ることを目的としている.本年度は,昨年度までの転写レベル・表現型レベルの解析によって見出されたpCAR1を保持した宿主に起こる様々な変化が,pCAR1固有のものなのか,それともプラスミド一般に共通のものなのかを明らかにするため,pCAR1とは異なる不和合性群に属するプラスミド2種(多剤耐性プラスミドRP4,ナフタレン分解プラスミドNAH7)をPseudomonas putida KT2440株に保持させ,プラスミド保持株と非保持株のトランスクリプトーム比較を行った.その結果,プラスミドを保持した際に転写変動する遺伝子の数はRP4・NAH7のほうがpCAR1よりも多いこと,pCAR1では抑制される遺伝子よりも誘導される遺伝子の方が多いのに対しRP4・NAH7では抑制される遺伝子のほうが多いこと,が明らかになった.しかし興味深い点として,pyrroloquinoline quinone(PQQ)合成遺伝子とPQQ含有酵素遺伝子を含む1領域が3種のプラスミド保持株で共通に転写誘導されており,全く種類の異なるプラスミドでも宿主に共通の反応を引き起こすことが示された。
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Research Products
(16 results)