2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05159
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 博之 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピン注入磁化反転 / スピントルク / 実時間測定 / 熱アシスト / MRAM |
Research Abstract |
スピン注入磁化反転は新たな磁化反転技術として高速不揮発メモリに応用することができることからさまざまな研究が行われている。これまでスピン注入磁化反転における磁化反転ダイナミクスを理解するため、高速磁化反転および反転時の高速実時間測定を行ってきた。測定にはCoFeB/MgO/CoFeBトンネル磁気抵抗素子を用いている。本素子において電流パルス印加後サブナノ秒領域に磁化反転が極めて起こりにくい時間(不感時間)があることを明らかにしてきた。本年度は不感時間のより深い理解を目的に、外部磁場を磁化困難軸方向へ印加した状態で磁化反転を行った。この結果、熱安定性は低下するものの、反転時間および不感時間を短くするという効果があることを明らかにした。この結果は高速動作メモリへの応用に向け、一つの指針になるものといえる。また実験に加えマクロスピンモデルによる数値計算を行った。本計算ではマクロスピンモデルに熱の効果をランダム磁界として取り入れる、ランジバン法を用いスピントルクを含めたLLG方程式を扱ったものである。この結果、印加電流を大きくすることによって反転時間、および不感時間が短くなっていくことを再現でき、マクロスピンモデルで本現象を理解することができることがわかった。今回作成した熱の効果を含めたマクロスピンモデルによる磁化ダイナミクスの計算プログラムは磁化反転だけに限らず、電流スピントルクによる自励発振等、歳差運動における磁化ダイナミクスもシミュレートできるため、今後歳差運動のシミュレートも行う。スパッタによるトンネル磁気抵抗素子の作製においては磁気抵抗変化が100%を超えるものもできており、さらに大きな効果を持つ素子を作製するため、さらなる条件の絞込みを行っていき、垂直磁化膜への応用に進展していく。
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Research Products
(4 results)