2009 Fiscal Year Annual Research Report
信託をめぐる国際民商事紛争のための法整備―信託関連法改正に伴う緊急課題―
Project/Area Number |
09J05169
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八並 廉 Kyushu University, 法学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国際私法 / 信託 |
Research Abstract |
国際民商事紛争を適正かつ円滑に処理するためには、(1)国際裁判管轄規則(2準拠法決定規則、並びに(3)判決の承認及び執行に関する規則の明確化が不可欠である。しかし、信託に関しては、これら3つの規則の明確化が遅れていることが指摘されてきた。本研究は、この国際私法研究の空白を埋めることを目的としている。平成21年度は、論点が多岐にわたる(2)準拠法決定規則の問題に焦点を絞り、研究を行った。 準拠法問題の論点を洗い出すためには、信託法の内容が各国で不統一である状況について明らかにし、このような「法の衝突」が顕在化する局面を検討することが第一歩となる。この点に関する研究の成果発表として、香港において開催されたASLI第6回研究大会(会場:香港大学、開催日:2009年5月29-30日)において、アジア諸国間で信託法の内容が不統一であることを指摘する口頭発表をおこなった。 また、国際シンポジウム「知的財産権と渉外民事訴訟」(会場:京王プラザホテル、開催日:2009年5月8-9日)の資料及び原稿の翻訳を完成させており、近々公表される予定である。このシンポジウムの活動に参加して得た最新の議論は、知的財産信託に関する国際裁判管轄規則、準拠法決定規則、並びに判決の承認及び執行に関する規則の明確化に有用であり、本研究の重要な一部として次に述べる論文にも活用している。 準拠法問題の各論点につき、準拠法決定規則の法源である「法の適用に関する通則法」の解釈論の観点から考察を行った成果として、知的財産信託に関する論文と自己信託および目的信託に関する論文を完成させており、福岡司法書士会及び九州大学の共催による信託研究会に原稿を受理されている。この成果は、同研究会のメンバーの共著による学術書の一部として、近々公刊予定である。
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Research Products
(1 results)